らいちゃんの人生墜落日記Part2

主にVintage Crown/Ureiアンプ修理が得意な、オーディオ機器修理人です。(他社もOK)他ではまず無い濃ゆい映像機器ネタあり、きゃりーぱみゅぱみゅさん、YOASOBIさんの大ファン。

Urei 6250の修理

故障しているというジャンクを格安で手に入れました。
状況は不明、通電するとCH-1がスタンバイのまま、リレーも外れない状況でした。
内部はどうも過去にだれかがいじったようで、電解コンデンサの一部が既にセラファインに交換されていました。
ボリュームには接点復活剤が・・・やめて欲しいです。
通電していろいろ調べているとわずか2、3分でかなり放熱フィンが暖まります。
何か危険な感じです。もしかして重症?
私の修理の仕方を少しだけここに書いてみます。
今回の場合、リレーがONにならないのでまずはスピーカー端子の配線を追ってリレー接点の手前でオフセットを確認します。
今回は数mVと問題ありませんでした。ということは終段は問題なさそう。
このアンプはオフセット調整は不要です。
スタンバイ回路はこの出力段と、サーミスタによる発熱具合でリレーを駆動させるようです。
となるとアンプ回路は問題無く、プロテクト回路が怪しい。
とりあえずFRAKOの電解コンデンサは生きていようがどうだろうが無条件交換。
完全に容量が抜ける場合と、容量が増える場合とがあり今回は後者でした。
これを新品に、ついでに他の小さいのも交換。
フロントパネル基板もコンデンサを交換。
それでも特に変化はありません。
次は怪しげな部品を数点交換。でも問題なし。
発熱するのが気になるのでバイアスを確認。だいぶ余計に流れているのでとりあえず少なめに調整。
過去の修理?チューニング?(セラファインに交換されている為)の弊害でしょう。
回路の電圧分布を正常なCH-2と比べると確かに怪しい。何かしらプロテクト回路がおかしいようです。
そこで、過去の修理を疑ってみることに。半田の状況を見ても、修理の腕が危うい感じに思えました。
電解コンデンサを取り外しパターンの状況を確認しますが、特に問題ありません。
再度スルーホールを清掃してコンデンサを戻します。
その際、半田ごてを2、3秒は当てておきスルーホールの部品側に半田が流れるよう、可能であればリード部を確認し綺麗なフィレットができていることを目視しておきます。
今回はこれだけで直りました。要は素人修理でスルーホールが破損し、半田がしっかり部品側に流れてなかったので回路が切れていたのです。電解コンデンサはプロテクト回路のものでしたので原因ははっきりしました。
さて、無事に直ったので通電チェックします。CH-1は正常ですが、CH-2は歪んだ音が・・・。
どこまでも楽しませてくれます。
CH-2の歪みの原因を調べます。
終段が動作しているかどうか、バイアスの流れ具合を確認するとゼロ。
これでは動作するわけはありません。逆に言えば終段トランジスタを動作させれば完了です。
まずはVCCを調べます。+VCCがゼロ、−VCCは問題ありません。
+VCCが来ていないので、コネクタから電源回路を遡ります。
調べると、電源基板のコネクタ部で+VCCのケーブルが断線していました。
電源回路はCH-1には問題無く供給されていることから、原因ははっきりしました。
ケーブルを手直しして、動作が完全にOKとなりました。
ここまで約2時間程度です。
Ureiに限らず両面基板は、スルーホールに要注意ですね。
この他、このアンプはアースが浮いていますのでシャーシはアース同電位ではありません。要注意です。
後は外観を清掃し、バイアスを調整して完了とします。