らいちゃんの人生墜落日記Part2

主にVintage Crown/Ureiアンプ修理が得意な、オーディオ機器修理人です。(他社もOK)他ではまず無い濃ゆい映像機器ネタあり、きゃりーぱみゅぱみゅさん、YOASOBIさんの大ファン。

アンプのTONE、LOUDNESS論

某所で話題になっていたので自分なりの結果を。

私もオーディオ黎明期〜中期まではやはり「なんで低域出ないんだろ」と思っていた一人です。オーディオ雑誌などにも「TONE回路を挿入することによる音質劣化を防ぐ、BYPASSスイッチを搭載、ピュアな音質をそのままに(ry」なんていうキャッチコピーが踊っていました。

で、実際寄せ集めでオーディオシステムを組むと、小音量時にはやはり音が痩せる。
てか、特に低域が聞こえない!ラジカセ以下かも。
んなわけで、LOUDNESSつまみはほぼ常用、BASSつまみを上げてみたりで好みの音に近づけてはいました。
しかし、やっぱり心地の悪さを感じていました。
オーディオ雑誌は、補正を罪悪のように書いていましたしね。
実際出る音もあまり良い感じでは無かったです。

世界が変わったのは、NECA-10AU-D907Xを入れたあたりです。
この2台は、一応中級クラスのアンプですからLOUDNESSは無く、低域も増強せずともそれなりに鳴るアンプでした。
これより前に、JBLのコントロールLAは入れていましたが、低域が出るスピーカーという認識はありませんでした。

この後、プリメインを数台入れましたが、狭いシャーシに無理矢理詰め込み、A級動作をさせて経年による部品劣化でくたびれた半ジャンクばかりで、今から思うとなんであんなのに金払ってたんだろ、とすら思う次第です。
山水の最高峰、B-2301も手に入れてはみたものの、重たいわ発熱凄いわで閉口ものでした。
音質も、決定的に良いなぁと思うアンプはありませんでした。

世界が変わったのはやはりアムクロン。
B-2301やその他の国産機とは決別し、独自の世界&泥沼にはまる羽目になりました。
アムクロンもすっかり有名になり、私が入手したD-150AIIも中古市場では良いお値段になっています。

さて、何が言いたいのかと言いますと、

「本当に良いアンプにはつまみが少ない」

という事です。
オーディオ機器を「良い音楽をよりよく楽しむ接点」と考える向きには理解して貰える考えだとは思いますが、機械フェチには難しいと思います。
高い高いお値段のプリアンプなのに、ボリュームとバランス、あとはプッシュスイッチというシンプルなデザインのAGIなんてその最たるものです。

A730 / DU-10 + AGI511 + D-150AIIの組み合わせは現在私に心地よい音楽を提供してくれています。
A730はもったいなくて最近はもっぱらDU-10の稼働頻度と半分ずつ位です。

組み合わせるスピーカーは、ステラハーモニーとコントロールLAですが、どちらも大きさなりのそこそこの低域が出てくれます。
スピーカーの高さが重要なんですけどね。

この機材群の組み合わせでは低域や高域のプラス補正は一切不要で、低域も切れの良いのがグイグイ来ます。
CDPのランクを下げてCD-94Limitedあたりにしても補正は必要無い感じです。
CDPのランクが上がることによる音質変化は、アンプ側の補正では到底無理な感じの変化です。
低域の裾野と押し出し感がぐぐっと増える感じなんですよね。
補正では、あくまでも補正なのでどうしても鬱陶しさと違和感が感じられます。
うまく補正すれば良いのかも知れないんですが、いままでうまく補正が出来たことも無いです。多分相当難しいことなのでしょうね。

こういった事を経験してきているので、LOUDNESS論やBASSブースト論は、今となっては懐かしい話だなぁ、と思わずblogに書いてしまいました。
ついで言うなら、必要以上の物量投入も不要と感じます。
A730がたった6kgの重量であの音を出しているのは、高級機材は重たいという常識を覆します。
スピーカーはそれ自体が空気を振動させるので、ある程度の作り込みは必要と思います。

アンプの振動対策など、私は意味無いと思っています。
ただ、世間的に表立って話されないのは、商売上の都合と考えて差し支えないでしょう。
アナログ機器ですので、何か加工すれば音質は変わるとは思いますが。
その課程を楽しむ人以外は特に必要無い事でしょう。

アンプの出力も、自分が使う必要十分な出力のものにしておくべきでしょう。
500W/chなんてアンプは、普通の家庭では不要なものです。
100W/chまでで十分です。ウチは75W/chですけどね。