らいちゃんの人生墜落日記Part2

主にVintage Crown/Ureiアンプ修理が得意な、オーディオ機器修理人です。(他社もOK)他ではまず無い濃ゆい映像機器ネタあり、きゃりーぱみゅぱみゅさん、YOASOBIさんの大ファン。

マイクロソフトXbox360の故障多発は無鉛はんだのリフロー温度が原因
という記事を読みました。
以下は超絶マニアックかつ業界の話なので、いつものような砕けた話が良い方はスルーしてくださって結構です(汗)


コレって今の本業そのものなんですけどね。
具体的には基板のリフロー半田付け温度設定を間違ってたて事ですね。
鉛フリー半田は、一般的な共晶半田(融点180度Cくらい)と違って融点が220〜230度C程度と高いので、表面実装部品への熱影響を考えるとどうしても温度を極力下げたり、リフロー時間を短くしたいと考えてしまいます。
半田球との記載もあるので、BGAチップの半田付けでの問題が大きかったと思われます。
BGAチップは実装後は裏からも表からも半田接合部が目視出来ず、未だに検査方法が難しい実装方法で、現状では通電検査以外にはX線検査しか無いようですが、それでも完全ではありません。
鉛フリー半田は融点が高い事と、融点と部品の熱破壊温度が近い(だいたい壊れやすい部品で240〜250度C程度)為、製造者からは実に曲者で、私の本業でもリフロー炉の温度プロファイル(リフロー炉内の半田溶融の為の温度上昇曲線)には細心の注意を払って管理しています。
「どーせ民生機だし半分どうでも良いや」的考えがあるのかなぁ?と思います。
もしくは半田付け後の検査工程がいい加減なのかも知れません。
部品の品質も怪しかったそうなので、そもそも問題が多すぎるんでしょうね。
怪しげな基板製造業者だと、表面実装基板製造では必須のクリーム半田も中古(そういう市場があるようです、ちなみに数日使うと劣化する為、通常は使用日数を規定して規定を超えれば廃棄、そもそも消費期限がある)とか、リフロー炉の設定も適当なんでしょう。
この事は我が社でも人ごとと笑っていられません。
一つ間違えるとウチの会社でもあり得るからです。
時代の流れは鉛フリーですが、実際に基板を製造する現場の声としては、信頼性の面から特に必要無ければ共晶にして欲しいと思うのが本音です。
環境への配慮という事も理解は出来ますが、製造後のリスクが高いんですよね。
このリスク故に、人命に影響する等の極めて高い信頼性が要求される機材の基板は未だに共晶半田を使っているものがあります。
近年の家電製品の寿命が短くなってきているのは、こういう部分も一つ原因があるかと思います。