らいちゃんの人生墜落日記Part2

主にVintage Crown/Ureiアンプ修理が得意な、オーディオ機器修理人です。(他社もOK)他ではまず無い濃ゆい映像機器ネタあり、きゃりーぱみゅぱみゅさん、YOASOBIさんの大ファン。

S-VHSビデオデッキについてのお問い合わせ

三菱のHV-V1000 S-VHSビデオデッキを所有していて、ブルーレイ等次世代メディアに残すために久々にビデオデッキを稼動させたら故障していた、他でも断られてしまいました、安く修理対応できませんか?というメールが来ました。
残念ながら、下記の理由で厳しいですよ、という連絡をしました。
 故障内容は、ベルト溶け、通電すると電源がすぐ切れる、焦げ臭いにおいがする、というもの。

 20年ほども経過しているVHSビデオデッキを修理するのは相当な困難が予想されます。
 少なくとも電源周りはNG、メイン基板上の電解コンデンサも20年経過すれば殆どが不良?
 ちょうどあの時代の電解コンデンサは非常に危ないです。
 表面実装品は本当に短寿命で10年持ちませんでしたから。
 他にもスイッチ類の接点は多分NG?
 もっとも弱い電源部は現状、焼損?

 それも時々動作させていたのであればまだしも、ベルトが溶けている長期間保管品ですから・・・。

 ということを考えると、簡単に修理が出来るとは考えにくいです。
 皆さんお断りされる筈です。修理でなくレストアの世界です。
 もし修理を、ということであれば、部品取り機が1台少なくとも欲しいところです。
 再生が出来る程度へのレストアにしても、予想では少なくとも3〜5万円?
 現実的ではないです。

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 これに対する回答は、個人的には業務用VTRを安く手に入れてみられることをお勧めしたいです。
 具体的にはBR-S800DXあたりですが、アワーの少ない物を探してみてください。
 最近は業務用と言えど、NTSC機材は底値ですので数千円で買えると思います。
 業務用機は、先ずきちんとした規格どおりの信号を出すのが仕事です。
 また、変な色付けなども皆無です。
 当時の民生用VTRとは方向性がまるで逆です。(当時はヘタレメカに電気的補正でした)
 緩い規格の中で、「きれいに見えるのであれば何しても良い」というような状況でした。
 また、民生用VTRのTBCはご存知と思いますがおまけ程度の性能しかありません。
 業務用であれば、きちんと録画されているテープであれば、非常に良い映像を出してくれます。
 なのでBD化等にはもっとも適しています。

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 さて、ヤフオクで買える業務用機ですが、だいたいこんなところです。

 <パナソニック
 買わない方が良い。中身にはパナソニックで悪名高い民生機でおなじみのハイブリッドICがあって既に入手不能。(まったく同じものを使用しています)
 多分それらもNGでしょうし、冒険する価値は無い。
 電源も弱い傾向があります。パナソニックさんは自社で電解コンデンサを作っているので、変な容量の変な形状のものを作ってガンガン採用する為、自己修理には向かない。

 <ビクター>
 条件付で、安く出てたら良いかも。
 BR-S500/S800と、BR-S500/S800DXとがあり、DXが付くモデルにはTBSボード(TBCの簡易版)が入っています。
 簡易版と言えども業務用なので民生のTBCとはレベルが違います。
 しっかり間違いなく効きます。
 各種調整が出来ないのが簡易版というところでしょうか。
 ただし、このTBSボード(形としてはBR-S500/S800にTBSボードを追加する)には、あの悪名高きチップ電解コンデンサが山盛りです。
 これが死んでいる個体も多いので要注意。
 BR-S500/S500DXというのは再生専用機。
 BR-S800/S800DXの録画なし版です。
 これより古い世代の業務用機は実用上、古すぎて危険です。
 TBSが死んでない事を確認できれば買いです。
 電源の電解コンデンサも良く死んでいますが、こちらは市販品とのリプレースがしやすい部類です。電源ユニット基板も当時で1.4万円くらいでした。

 <ソニー
 良く見極めて買い!
 お勧めはSVO-5800。アワーが少ないものを探せば長く使えそう。
 年式も新しい上に、TBC/NR搭載で言うことなしです。
 類似品としてSVO-2100なんかがありますが、これは民生の延長機です。
 その前の世代にはSVO-260なんてのもありますが、古すぎます。

 <業務機共通の買い方ポイント>

 1.アワーがわからないものは買わない。
 アワーが少ない個体はそれだけでセールスポイントとなるので表示している筈。アワーが多いと実質的にはゴミ扱い。
 メーカーでメンテナンスをすれば使えるのですが、多分それだけで数万円かかるので安い中古を買う意味が無い。
 通常はメンテナンスは3000時間程度で行うはずなので、それ以内を目処に。
2000時間以内であればまぁ良いかなという感じ。
 使用頻度の少ない公共施設なんかの設置品が狙いどころ。
 但し、アワーが行っていてもきっちりメーカーでメンテしてあれば問題なし。

 2.外観の汚いものは買わない。
 扱いの良くないものはトラブルが懸念されるので買わないこと。

3.あと1つ要注意:3倍モードは基本的に再生出来ないと思ってください。
 BR-S500/800は再生できるらしいです(未確認)。

 4.安心して買うなら業務用機材の中古店で買う方が良いです。
 中古店は程度の基準が相当厳しいです。
 というのは、「業務用として使用しても問題ないか?」という判断の仕方ですので、問題があればジャンク。
 そういうところでNG扱いになったものはジャンクとしてヤフオクとかに出ます。したがってヤフオクのもので、業者出しの品物はやや怪しいです。
 本来のルートであればそこそこのお値段になる筈なのに・・・?
 まぁSD機材は値崩れが激しいです。
 しかしヤフオクは当たり外れが激しいと思ってください。

 てなところでしょうか。
 個人的には、今買えといわれればSVO-5800です。(標準モード専用です)
 年式がまだ新しいですし、画質も良いはずです。(所有したことはありません)3倍モード録画テープもあるならBR-S800DX/500DXになりますね。

 <購入してからの要注意ポイント>
 本物の業務用機は端子類が民生と違うものを使っています。
 変換コネクタは必須です。安いのはサウンドハウスにありますね。
 音声はキャノン、コンポジットビデオはBNC、おまけ的にSビデオ端子があったりとかします。

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 こんな文章を作ってメールしております。
 よくまとまっているのでブログに内容を少し編集して転記しました。
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